出会いと別れと新作情報

名古屋に行ってきたがね

初めての展示会だったんですが、主に中国企業との取引を促進するのが大きな目的だったらしく、何か新しい驚きを求めて訪れたかりんこさん的には全然マッチするものがなく、正直言って拍子抜けでした

残念だけれど一回りして帰ろうかと思っていたところ、ある一画にとても面白い空間があることに気がつきましてね。中国企業のブースと離れたスペースで何人かの日本の手作り作家さんたちが出店しているんですよ。そこで思わず目と心を奪われる作品に出会ったんです。「おもちゃ箱をひっくり返したような」という表現がありますが、まさにこれ。いろんな生地をパッチワークのように組み合わせたフリーダムな洋服。どれも明るく楽しくて、元・男の子の番頭さんもワクワクを止められなかったですよ


そしてですね、この作家さんとお話しさせていただいて奥方様も意気投合。短期間ではありますが、なんと かりんこ店舗にて皆さまにご紹介できることとなりました

来月の3日(木)から12日まで10日間だけの催事となります。近くなったらまた詳細をお知らせしますが、ご自身でなくてもお知り合いでこういったデザインがお好きな方がいらっしゃったらどうぞ教えて差し上げてください




さて、『虎に翼』が終わってしまいました。

番頭さんのベストワンはこれまで『おかえりモネ』でした。なぜこの作品を高く評価しているのかと言いますと、ある人物(宇田川さん)を描いたことからでした。心になんらかの痛み哀しみを抱えた人物を、最後まで姿を見せることなく優しく受け容れたこと。これだけでも朝ドラでは異色で画期的でした

作品に終始漂っていた言い表せぬ哀しみは東北の大震災の傷だったわけですが、そこからゆっくりと立ち上がって行く人々と並行するように宇田川さんという存在を描きました。最後まで名前だけの存在にすることによって、この世には自分が見えるだけではない幾千幾万の人生があることを主人公に気づかせた。この作品にも『虎に翼』と同じように「重い」だの「暗い」だのといった短絡的な批判がありましたが、同様に根底にある「弱者への優しさ」という点でも共通していたのではないでしょうか


『虎に翼』の見事な点は、江戸期の封建制度が終わってからも無数存在していた「宇田川さん」たちを可視化させたことです。部屋に籠るとかではなく、普通に社会生活を営んでいながらもどこか身の置き処のなさを覚える人々。作品は最初は慣習に則り唯々諾々と家庭にいた女性、それを否と社会に飛び出そうとしていた女性たちを典型として描きましたが、主人公たちの奮闘もあり少しずつ環境は改善されます。しかしながら法が整備されてゆけばゆくほど、なおも置き去りにされる人たちの絶望感は増していったのです

寅ちゃんが出会った人たちはみな少なからず言いえぬ哀しみを背負っていました。貧乏農家に生まれ虐げられていた者、他国から志を持って来るも差別の目を恐れて生きる者、名族の末裔ながら変わりゆく時代に翻弄される者、身勝手な家族によって志を奪われた者など。また性的マイノリティも同じです

これまでの朝ドラなら目を背けるか、敢えて触れなかったテーマをこの作品はエンタテインメントという切り口で、なおかつユーモアも織り交ぜながら描いてゆきました。さらに「帝人事件」「原爆裁判」「尊属殺人」といった、日本の司法史上に残る大裁判にも史実を詳細に調べ上げたうえでキチンと取り組みました。この3つのうち「原爆裁判」と「尊属殺人」については、あの「憲法第14条」が大きく影響することとなります。ここには寅ちゃんは直接関わらず、生涯の友であるよねさんを主人公として活躍させました。最初からこれを構成していたのだとすれば恐るべきはやはり36歳の脚本家です

また、最初から、といえば、偶然にも最終回の一日前に「袴田事件」の無罪判決が出ました。半世紀ものあいだ冤罪で自由を奪われて死の恐怖におびえさせられていたことを静岡地裁が認め、謝罪。同時に事件そのものを捏造と認め、当時の警察と検察を異例の口調で非難しました。これって『虎に翼』の影響もあるんじゃないかと思ったのは私だけでしょうか?尊属殺人裁判でのよねさんの魂の籠った演技に裁判官も背筋を立たせられたのかもしれませんよ

そして最終回の昨日はまたまた偶然にも自民党の総裁選挙がありました。こちらに朝ドラの影響があったとは考えづらいのですが、石破氏の「ルールを守る政党に」の発言が決選投票において奏功したという向きもあったようですので、あながちゼロではないのかも(笑)


昨日のSNSでは総裁選挙と『虎に翼』で話題を二分していたようですが、とらつばの出演者やスタッフのポストがたくさん見られました。そしてそのほぼ全員がお礼とともに「さよーならまたいつか」という言葉で締めくくっていたのが最高に泣けて笑えました


もっともっと書きたいことはありますが、まだしばらくは客観的になれそうにはありません(笑)が『おかえりモネ』が日本映画史における『東京物語』なら『虎に翼』は『七人の侍』に当たるのではないかと思うのでした





などと与太話を綴っていたら、奥方様が新作を出してきました

綿100%の花柄生地で作った8枚はぎのカンパネラ(釣鐘)スカート。サイズはS~Mですが、ウェストは総ゴムなのでLサイズの方にも適用はできます。ただし着丈は76㎝なので、上背のある方にはちょっと短いかも。小柄な方には下半身に適度なボリュームをもたせてくれるので、奥方様がここで着用しているようなショート丈の上着とはいいバランスが取れますね。価格は8,800円(税込)となります

奥方様が着ているこの小豆色のプルオーバーも手作り、四国松山に住む名人の作品です。麻55%綿45%ですが、一般的な麻のイメージとは違って凄くソフトで温かみもありますので、今からの季節にもピッタリです。価格は税込9,800円ですが、デパートだったらその倍で売っているような優れものですよ



またまとまりのない駄文の羅列になりましたが、今日はこの一曲で締めましょう

先週の米津玄師スペシャルで初公開されたフルヴァージョンです

では今回もご覧いただきありがとうございました、さよーならまたいつか

出会いと別れと新作情報” に対して1件のコメントがあります。

  1. ゴーゴン より:

    前回のブログで虎に翼については終わりと思っていたので嬉しく読みました 読みました もとい拝読しました、です。
    読みごたえたっぷりで、ロスになりそうな火照りをなだめてもらった感もあります。自分では言葉に出来ないものをこちらで得られました。ありがとうございます。
    袴田さんの事、気になっていましたが 地元の人達なら尚更なのだろうか とニュースの度に想像していました。

    タイトルに 別れ とあったので、もしやマギー・スミスさんの事? と思いました。
    多くは観ていませんがかなり好きな俳優さんです。
    同い年で往年の友人でもあるジュディ・デンチさんも同じくらい好きなのですが、お歳なのでしょっちゅうウィキで確認してます。
    (マギー・スミスさんは確認してなかったという失態と反省)
    ドラマも映画もその他も、いいものを見せてくださってありがとう、です。さよーならまたいつか、ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です