『虎に翼』前編の感想

全二十六週のうちの八週目、つまりほぼ1/3を終えた朝ドラ『虎に翼』についてです

先週(第八週)の金曜日、つまり週ラストでは優三さんの出征までが描かれました。変顔で見送る寅ちゃんと哀しみをまとった笑顔で返す優三さんの姿は日本中の多くの涙を誘ったのではないでしょうか。かりんこ夫妻もご多聞に漏れず朝から目を真っ赤にしたクチです。伊藤沙莉ちゃんのあの芝居は見事というよりありませんでした。なんで変顔で泣かされなきゃいかんのよ(笑)


そして金曜日の最後の数秒で翌週の予告編が流れました。そこには花江ちゃんの泣き崩れる姿とお父さんの苦しむ映像がありました。また悲しみに暮れる週となるのでしょうか、胸が締め付けられる思いで一日を過ごすのはフィクションの世界とはいえさすがに辛いものがありますねえ

他にも指摘された方が多かったようですが、その予告編の最後で「日本国憲法」の公布を報じる新聞を読む寅ちゃんの姿がありました。これたぶん第一話の冒頭に繋がるんじゃないでしょうか。だとしたら戦争によって多くの大切なもの、大切な人を失った主人公が戦禍の焦土の中で『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラのごとく立ち上がることを示すわけです。歴代の朝ドラ主人公の多くも同じ境遇の中で生き抜いてきたのですが、寅ちゃんの場合はその後日本の民主主義の守護者となっていくわけですから、その起き上がり方にはこれまでよりもまた大きな意味が出てくるわけですね


これまでの8/26週では封建体制の終焉(1867年の大政奉還)から半世紀経ってなお女性の人権が軽んじられているジレンマの時代にあって、もがき苦しむ主人公たちの姿が描かれていました。中編では戦後になって変わってしまう部分と、それでも変われない日本の根っ子の部分が寅ちゃんたちに纏わりついてくるのだと思われます。大きなカギを握るのが松山ケンイチくん演じるところの桂場氏になってくるのは間違いないでしょうが、番頭さんの個人的なご贔屓である「よねちゃん」もどのように描かれてゆくのか興味は尽きないところです。またヒャンちゃんの再登場も熱望しております



それにしても脚本の吉田恵里香さんの才能には恐れ入るばかりです。怪獣とアニメしか誇れるものが無くなった日本映画界の救世主となってもらいたいですね



そういえば、金曜日の放送の寅ちゃんと優三さんのシーンで聴きなれない挿入歌が流れたのに気づかれた方もいらっしゃると思います。音楽担当の森優太氏が書き下ろした「You are amazing」という曲で、氏が熱望してBelle And SebastianというバンドのヴォーカルのStuart Murdochに歌ってもらったそうです。今日の一曲はその曲といきたいところですが、まだ配信されていないようなので、彼らの曲を貼り付けます

では今回も駄文をご覧いただきありがとうございました

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